YLIHERKKYYS DIARY

いろんな疾患と生きる日々の記録

化学物質過敏症(CS)発症から診断まで(小~中学生)

わたしが化学物質過敏症(CS)の診断を受けたのは、高校受験時の配慮を申請するタイミングでした。

 

発症したのは、小学4年生の秋だと自認しています。転校した先の小学校の体育館の床に塗られているワックスに反応しました。目や鼻がかゆくなったり、鼻水が止まらなくなったりして、寝ている最中も何度も起きて鼻水をかんでいました。

よく、CS発症は化学物質をためるコップが一杯になって溢れたときだという表現をされます。私のコップに化学物質が急速に溜まっていったのは、新築のマンションに引越した後からだと思います。その後の転校先の体育館で、最後の一滴が落ちて、溢れたのだと思っています。

 

中学校進学に当たり、親は学校に様々な配慮を掛け合ってくれました。わたしの教室に換気扇を取り付けてもらったり、校舎の床に塗るワックスを私が大丈夫な種類に変えてもらい、更に塗る時期を長期休暇の開始直後にしてもらい休暇が終わるまでずっと換気してもらったり、私が大丈夫なインクでコピーした教科書をもらったり、いつでも自分が必要なタイミングで換気できるよう窓側の席にしてもらったり、美術や技術の授業で使う溶剤をわたしのいる班だけ天然由来の(私が反応しない)ものにしてもらったり…。

わたしの親が主に教頭や担任教師に掛け合って実現させたものも多くありますが、中には理解のある教員が自ら考えて提案、配慮してくれたこともありました。わたしが他の人と同じように学校生活を送れるように尽力してくれた人たちにとても感謝しています。

 

しかしそのような配慮もむなしく…という書き方は適切ではないかもしれませんが、中学生時代にわたしのコップには次々と化学物質が注がれ続けました。

クラスメイトからの洗剤、柔軟剤、整髪料、制汗剤などのにおいや、教員からの煙草や化粧などのにおいからです。また、畳のある格技室に入るといつもくしゃみが出て、その夜も症状が出続けました。コンピュータ室も入ると息がし辛く、頭が痛くなりました。更衣室に充満する制汗スプレーのにおいで頭が痛くなり呼吸が苦しくなるので、着替えは更衣室内の入口付近で秒速で行うか、廊下で行いました。

学校祭を欠席したこともあります。体育館のワックスから揮発するものと、体育館に集まった全校生徒からの様々な物質が、わたしのコップをすぐに一杯にさせたからです。今思えば、みんなと同じ列の中ではなく、体育館に隣り合うグラウンドに面した扉を開けてその近くに座らせてもらえば、新鮮な空気を吸うことができ、参加できたのではないかなと思います。(しかし、そもそも学校祭の出し物にあまり興味がなく、自分のクラスは展示担当で祭当日の自分の役割がなかったので、参加しなくても良いと思っていました。だから休むことは全く嫌ではありませんでした。)

 

前述した様々な合理的配慮のおかげで、学校に日常的に通えなくなるまで体調を崩したり環境が悪かったりすることはありませんでした。しかし、クラスメイトのにおいから逃げられない場面が1つだけありました。それは定期テスト受験時です。定期テスト期間は、席順が出席番号順になり、毎回においのきつい子と近い配置になっていました。また自分の席が窓際から離れてしまい、自分の必要なタイミングで窓を開けたり、開いた窓から新鮮な空気を吸うことが難しくなりました。活性炭入りのマスクをしてもにおいは気になり、呼吸が苦しくなったり頭が痛くなったりしてテストに集中しにくかったのを覚えています。

中学2~3年生頃からは、過敏性腸症候群IBS)の症状も出始めていたのですが、上記のようなこともあり、はじめは主に定期テスト受験中によく起こっていました。しかし次第に普段の授業中にも起こるようになっていきました。これは高校でさらに悪化しました。大学進学以降は多少改善されましたが、寛解までは至らず、現在も続いています。

IBSの原因の一つはストレスだと言われています。わたしにとっては化学物質が主なストレスとなり、発症したのではないかと考えています。

 

周りの人に依頼する合理的配慮以外に、自分で出来ることとして中学時代に心がけていたことは、汗をたくさんかいて、排毒することです。わたしは2つの運動部に所属して、オールシーズンほぼ毎日汗をかいていました。あとから知ったことですが、脂肪量を少なく、筋肉量を多く保っていたことも、毒素をため込まないことに良く作用していたと考えられます。

 

さて、このような状態だったわたしは、高校進学の準備として、化学物質過敏症の診断を受けることになりました。受験環境の合理的配慮を申請するためです。わたしがより良いコンディションで受験に集中できるように、主に親が尽力してくれました。

ちなみに出願高校を選んだ基準は、学力ではなく、校舎の環境(化学物質量)でした。実際に校舎に入ってみて、滞在し続けられるか試しました。夏に開催される学校説明会に参加する際は、事前に連絡して、説明会の内容に含まれていない特別教室にも入らせてもらえるようにしました。また、窓を閉め切り換気が不十分になる冬でも滞在できるかどうかを確かめるために、冬季に個別に学校訪問したこともありました。

無事に合理的配慮の申請が通り、受験当日は、廊下の窓を開けてもらい、廊下に通ずる教室のドアを開け放してもらい、そのドアの一番近くの席で試験を受けました。結果は合格で、自宅から通える範囲内にある高校で、一番息がしやすかった(化学物質への暴露量が少なかった)高校に進学することができました。