YLIHERKKYYS DIARY

いろんな疾患と生きる日々の記録

脊髄空洞症と確定診断されるまで4 病院受診

紹介してもらった病院の初診時は、脊髄空洞症の専門医の診察の中で、空洞症により特化した検査を受けました。それから検査入院の説明を受け、それに向けた準備をしました。

 

診察ではまず、問診表にびっしりと記入したわたしの主訴を基に話をしました。

頭痛、手足に力が入らない、めまい(ふわふわ)、眼振など→キアリ奇形と脊髄空洞症に関係あり

感覚過敏(化学物質、電磁波)→関係なし

と言われました。私は、化学物質や電磁波に曝露することがきっかけで、いつも頭痛や手足に力が入らない、眩暈ふらつきなどが起きていると感じていたため、少し不満?のようなものを感じました。特に電磁波過敏症は無いものとして話が進められているように感じました。

ペットボトルのキャップを開けにくさはあるか、と聞かれましたが、ここ何年もわたしはペットボトル飲料を買わないようにしていて、そもそも開ける機会がなく、だから開けられなかったこともないので、その場ではいいえと答えました。しかし後から振り返ると、最近水筒のふたを開けづらくなっていて、水筒と手の間にゴムをかませてふたを開けていました。また、後日ペットボトルのキャップを開ける機会があったとき、開けるのに非常に苦労しました。近年は環境問題の観点からペットボトルの使用を控える流れもあるので、質問の仕方を、ペットボトルに限定しない、新しいものに更新しても良いのではないかなと思いました。(私がその場で機転を利かせて水筒の話をできればよかったのですが、診察室では考えながら言いたいことをきちんと伝えることは往々にして難しいと感じます。)

 

それから、様々な検査を受けました。

座位で目を瞑って両腕を前に伸ばす、握力を測定する、靴を脱いで立ち、目を瞑って両足で立つ、目を開けて片足で立つ、靴下を脱いで仰向けに寝て、先生の指を見る、自分の人差し指で自分の鼻と先生の指を行ったり来たりする、金づちのような道具で肘、膝、内踝をトントン叩かれる、筆で足の裏を撫でられる、先端の尖った道具で首、腕、お臍の左右をはじめとする確か全身をチクチク刺激され、感じた痛みを10段階で表す、などの検査でした。

 

握力は左26㎏、右22㎏でした。

目を瞑って両足で立ったとき、わたしは前後に揺れていました。

目を開けて片足で立ったとき、わたしは右足の方がグラグラしていました。

チクチク刺激する検査では、首で感じる痛みを10として、他の部位で感じる痛みを10段階で表すものでした。これにより感覚障害がどこにどの程度あるかを確かめられます。この検査の結果、わたしにはジャケットタイプの感覚障害があることが明らかになりました。

 

握力について、体力テストを受ける機会のあった学生を卒業してからしばらく経っていたし、普段握力を測定する機会もないので、この数値が低いのか高いのか普通なのかすぐには分かりませんでした。しかし、女性はこんなもんだからねーと言われて、違和感を感じました。どうしてかというと、私はクライミングを何年かやっていて、少なからず握力は鍛えられているはずで、人と比べて少しは強いはずだと思っていたからです。

(ここ1年くらいは手や腕に力が入りづらく、登った後の重だるさや疲労が尋常じゃなく、腕だけでなく全身への力の入らなさや眩暈ふらつき頭痛などもあり、クライミングはできていませんでしたが。)

だから、今の握力が平均的であったとしても、元の握力からは少なからず低下していると思いました。平均的だからと言って、安心してもらっては困る、と思いました。

 

ジャケットタイプの感覚障害について、思い返してみると、何年も前に交通事故に遭った後あたりから、右の肋骨や肋間筋辺りの感覚異常を自覚していました。この日主治医から感覚障害が「ある」といわれて少し衝撃を受けました。あの変な感覚は、これ(空洞症の症状)だったのか!ちゃんと、感覚障害は存在したんだ。と嬉しくなりました。なぜかというと、これまでは、どこの医療機関や治療院で訴えても、気のせいなどにされて、とりあってもらえなかったからです。そのうち、訴えるのをやめてしまっていました。だから、今回の問診表にも、自分からは書いていませんでした。それを医療機関側から探して、認めて、指摘してくれたので、今までとは真逆の流れで、びっくり、喜びの衝撃でした。

交通事故に遭ったことは、感覚障害が出始めたこととなんの関係もないと言われました。たまたまその時期が重なっただけで、交通事故の影響と空洞症は関係ないそうです。診察中の会話の中で生まれた疑問をちゃんと聞けたこととがまず嬉しかったです。それからその答え聞いて、必要以上?に、交通事故の相手への恨みが増えなくてよかったと、少し安心したのを覚えています。

 

持参したMRIの画像も見て、キアリ奇形と脊髄空洞症であることを改めて伝えられました。

 

それから、検査入院をすることになり、その説明を受けました。検査入院でしてもよいが今日してもよいことを先取りして、血液検査のための採血などをしました。入院にむけた生活情報用紙の記入には、体感的にも物理的にも結構時間を要しました。普段の生活の仕方や、食べ物の好みやアレルギー、趣味など、A4の紙4枚分ありました。改めて聞かれると答えるのが結構大変だなと思いました。ここでどう記入するかによって、入院中の快不快が左右されそうだと感じて、気負っていた節もありました。結果的に、食のこだわりなどをちゃんと伝えられて、入院時の食生活をいいものにできたので、このとき頑張って頭を使って記入出来て良かったと思っています。

 

今回の受診後に思ったことは、クリニックでキアリ奇形と脊髄空洞症の名前を教えてもらってから、今回病院を受診するまでに、空洞症にどんな症状があるのかを調べて、私にどれが出ているかを書き出していけばよかったなということです。問診表には感覚障害を書かなかったけれど、自分では気づいていました。もし事前に下調べをしていれば、最初から問診票に書けたと思います。その他にも、検査入院までの間に色々調べるうちに、手首の痛みなど、問診票に書けたことを他にもたくさん見つけました。

クリニック受診後から、幸いにも予約が取れて数日後に病院を受診できたことはラッキーでしたが、調べ物をするには少し短かったのかなと思います。

 

治療法については少し調べていたのですが、

脊髄空洞症の手術 | 低侵襲脊椎手術

手術に関することは想像するだけでぞくぞくしてあまりよく読めませんでした。

そして症状に関して詳しく調べることや、調べたものを慎重に自分と照らし合わせることは、していませんでした。聞いたことのない病名をいきなり言われて、少し興奮状態になっていたのかもしれません。

 

 

参考:

https://www.moriyama.or.jp/moriyama/wp-content/uploads/2022/04/8f3a99fa0ab62b2da35eccfe0700d27d.pdf

https://www.kameda.com/post/assets/spine3.pdf

脊髄空洞症|一般社団法人日本脊髄外科学会

脊髄空洞症と確定診断されるまで3 クリニック受診2

2回目のクリニック受診時にとうとうMRIを撮りました。撮影後はふらふらして手足に力が入りづらく、頭痛もあり、待合室の椅子に横になっていました。

診察室に呼ばれてまず、今までの説明は全部忘れてください。と言われました。

脳脊髄液減少症ではない、もっと大きな病気であることがMRI画像で明らかになったのです。

脊髄の中に空洞があること、小脳にキアリ奇形があること、それらが今の症状の原因であるだろうということを説明されました。そして、ここではないもっと大きな病院で診てもらうことを勧められました。そこでより詳しい説明や治療をしてもらえるとのことでした。

びっくりしました。

本当のことを言うと、告知されたときのことを今はあまりよく思い出せません。

当時はMRI撮影後の体調不良で、あまり頭が働いていなかったと思います。ふわふわした感じがありました。自分の内側で起きている痛みや不快さに意識が向いていたからか、傍から見ると落ち着いて淡々とその状況を受け入れていたみたいです。

紹介先の病院を選ぶときも、頭が動いていなかったので、なんとなくの直感で選びました。これは、後日ちゃんと頭で考えた結果でも同じ選択でした。頭が動いていなくても、自分に必要なものは感覚的にわかるのだな、思考が邪魔をしないからより素直に直感に従えるのかな、と思いました。

紹介状を作成してもらい、MRI画像のデータも受け取り、クリニックを後にしました。

体調は依然としてとして悪く、すぐにでも横になって休みたい状態でした。しかし付き添ってくれた家族を送る車に同乗したので、自宅に着くまで遠回りをし、結構長いドライブでした。

その夜は頭痛がひどくてなかなか寝付けず、ようやく眠れても、夜中にパニック発作(過換気発作)が起こって目が覚めました。MRIの体への負担が大きかったのか、空洞症の告知を受けたことが大きなショックだったのか、原因はわかりません。とにかく、この日の経験が大きなストレスになっていたことは確かでした。

以上が、わたしの脊髄空洞症が発覚した日の話です。

 

参考:

脊髄空洞症(指定難病117) – 難病情報センター

キアリ奇形|一般社団法人日本脊髄外科学会

キアリ奇形に伴う脊髄空洞症 - 亀田メディカルセンター|亀田総合病院 脊椎脊髄外科

 

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因みに、全部忘れて!と言われたのは、以下の内容。

脳脊髄液減少症です。

硬膜はメッシュ状をしている。

これが左右に振られることで緩んで、リンパに吸収される脳脊髄液量が通常より増えている。

交通事故の後遺症だね。


脳脊髄液減少症は次の3つに分けられる。

低下症(作られていない)

漏出症(穴が空いて漏れてる)

吸収亢進症(メッシュ状の硬膜の網が衝撃や振動で広がって、髄液が多めにリンパに吸収されている)

あなたは3つ目の、脳脊髄液吸収亢進症でしょう。

脊髄空洞症と確定診断されるまで2 クリニック受診1

脊髄空洞症が確定するまでに、わたしは2つの病院に行きました。

1つ目は、脳神経クリニックです。このクリニックは脳脊髄液減少症などを得意とするクリニックです。当初わたしは脳脊髄液減少症を疑っていたのでこのクリニックを受診しました。このクリニックには2回通いました。

 

わたしはMRIへの恐怖感や不安感がありました。以前に別の傷害でMRIを撮った際に、体調と精神状態がとても悪くなったからです。(更に昔にMRIを撮った際の体験がトラウマになっていたようでした。)

何年も前に、脳脊髄液減少症の存在を知っていて、自分がそうかもしれないと思っていにも関わらず、それを確かめるための脳神経科受診を躊躇っていた(渋っていた)のは、MRIを撮るのが嫌だったからでもあります。

なるべくならMRIを撮りたくないことをクリニック側に伝えると、その意図を汲んでくれました。気持ちを伝えても軽くあしらわれるかもしれない、強制されるかもしれないと不安に思っていたので、私の気持ちをそのまま当たり前のように受け止めてくれたことに、少し感動したのを覚えています。とても安心しました。

 

初診時は、数リットルの点滴をして視力や頭痛に変化が現れるかを試すことをしました。脳脊髄液減少症患者にみられる変化と同じ変化が私にも現れたので、わたしもほぼほぼ脳脊髄液減少症であろう、という言われました。MRIを撮らなくても判ることがあると友人に聞いていましたが、私の場合でもその通りになりホッとしました。。

その後、症状の詳しいメカニズムや具体的な治療方法の説明を受けました。そして最後に、実際に治療に入る前には、MRI画像で確定診断をする必要があり、この段階をスキップすることはできないという説明を受けました。

次回の受診時にMRI撮影と、術後サポートを頼む家族への情報共有をすると言われました。一緒に来てもらう家族の都合を調整して、後日電話で予約を取りました。

この時私は依然としてMRIに抵抗感はあったものの、日々の色々な症状や困り事が減るのなら、今回くらいは、1回くらいは、撮ってもいいか。という気持ちになっていました。

しかし不安が強かったです。MRIを撮る日は、家族に付き添ってもらいました。

 

 

脊髄空洞症と確定診断されるまで1 受診のきっかけ

わたしは28歳の夏に、脊髄空洞症であることが判明しました。

きっかけはラフティングでした。ラフティングでは、使用した川の形状や水量の都合もあって、予想していたよりも大きく頭が左右に振られました。川を下り始めてから割と早い段階でわたしは頭が痛くなり始めました。この頭痛はボートから降りた後も、帰宅中の車の中でも、家に着いても消えることはなく、その後2週間以上続きました。

事前知識として、わたしは脳脊髄液減少症という病気があることを知っていました。日々の症状から、自分が脳脊髄液減少症なのではないかと少し疑っていましたが、脳外科に行って確かめるには至っていませんでした。

しかしラフティング中に始まった頭痛が2週間以上も続くことから、自分は脳脊髄液減少症かもしれないと本格的に思い始めました。通院中の精神科医や心理士にも話してみることを通して意思が固まり、ついに脳神経科を受診することを決めました。

友人のつてで脳脊髄液減少症に詳しい脳神経科クリニックを知っていたので、行くと決めてから実際に受診するまでは割とスムーズでした。

 

余談ですが、ラフティングをした日、当日朝か前日夜(この辺りの記憶は曖昧です)まで、ラフティングをするかサップをするか迷っていました。このときにサップを選んでいたら、頭を大きく振られることもなく、未だ脊髄空洞症であることが判っていなかったかもしれません。そう考えると、あの時ラフティングを選択してよかったな、ラッキーだったなと思います。

そして、川のアクティビティに誘ってくれた人には感謝しています。体調が良いとは言えない状態だったので、誘いに応じることは不安だったのですが、わたしを上手く乗せせてくれてくれました。

ちなみに私がなぜサップではなくラフティングを選んだかというと、ラフティングのほうがサップよりも体力的に楽だと思ったからです。サップは自分の足腰でバランスを取り、パドルを握り、腕をつかって漕がなければならない、体幹必須のスポーツだと思っていました。当時たまに、めまい、ふらつき、手足に力が入らない、などの症状が出ていた私は、ラフティングなら座っていればいいがけだから簡単だと思いました。

後日友人にこのいきさつを話したら、サップのほうが楽だよ~穏やかだよ、と言われました。私の間違った見解と思い込みが、結果的に自分自身を助けることになったようです。思い込みの強さや誤解も、たまにはいい風に作用するのだなと思いました。

 

参考:CSF JAPAN 脳脊髄液減少症ホームページ | 脳脊髄液減少症とは?